どんな「無限」にもそれより大きな「無限」がある! 数式を一切使わずに、この「無限」についての事実を証明してみましょう。今日は、無限と、ある少年の勇気について考えます。 その夜、父は星が地球からどのくらい遠くにあるか、どのぐらい大きいかを話してくれた。 何千光年も遠くにある星。光が一年間に進む距離を一光年として何千年。ぼくは覚えたての無限という言葉を思った。でも、それはポテトチップスが無限にあったらいい、という時の“無限”とは違う。考えようとすると頭がしんしんする無限だ。こわいほどの無限だ。ぼくは父の首にしがみついた。 今はあの時とは違う。 父と兄にいくつもの星座の名前も教わったし、銀河宇宙の大きさも知っている。望遠鏡だって、兄がいなければ自分ひとりで使えると思う。今日だって、おうし座流星群を見にきたのだ。 二人で望遠鏡をかついで斜面を登る。十分も登ると、昨日の雨で湿った萱(かや)がまとわり