VOL.9 動物の形の多様性という名の変奏曲集II てのひらと指 近藤寿人(JT生命誌研究館 顧問・表現ディレクター) 本題に入る前に、次回のテーマの一つとも関連する、首の長さについて少し考えてみましょう。『首が長いキリンでも、首が短いヒトでも、首の骨(頸椎)の数は同じで7個』ということは、どこかでお聞きになったのではないかと思います。哺乳類には大小様々、陸上のもの海のものなど生活も様々――にもかかわらず、哺乳類の頸椎の数は7と決まっているのです。キリンは、各々の頸椎が長くなったことによって首が伸びたのですが、最近のキリンのゲノムとオカピ(キリンの最近縁種だが首は短い)のゲノムの比較から、どのような遺伝子(結構たくさん)の変化によってキリンは長い頸椎と首を持つに至ったかについての、重要な情報が得られました[文献1]。キリンとオカピのゲノムの比較から得られる知見については、帯刀益夫博士がその