個人や企業などが起こす不祥事。当事者のその対応もさることながら、日本人の批判に偏りが大きいとジャーナリストの田原総一朗氏は、指摘する。 * * * ドイツを代表する世界的企業であるフォルクスワーゲン(以下、VW社)の不祥事が深刻な事態になっている。ディーゼル車の排ガス量を違法に操作するソフトウェアを使っていたことが露呈したのだ。 VW社は、2006年から環境性能の良さをうたった「ブルーモーションテクノロジー戦略」を進めていた。08年のロサンゼルス自動車ショーで乗用車「ジェッタ」を発表し、ヴィンターコーン社長は「18年までに1千万台を達成し、トヨタを抜いて世界一になる」と宣言した。そして「ジェッタ」は狙いどおり、その年の米グリーン・カー・オブ・ザ・イヤーを射止めた。 そのVW社が、とんでもない“完全犯罪”を行っていた。私は不正発覚の情報を知っても、容易には信じられなかった。ドイツの代表的