兵庫県の長寿会社、辰馬本家。365年の歴史を誇る日本10大酒造会社の一つだ。ここの白鹿は世界的に知られている。しかし辰馬本家も一時は成長の限界にぶつかった。西欧文化に慣れた日本の若者も酒の代わりにワインやウイスキーを求めたからだ。 すると2009年、第16代社長となった辰馬健仁氏(44)は果敢に成長戦略を変えた。より良い酒をつくる代わりに、酒を日本食とともに素敵に飲む酒文化を普及させることに力を注ぎ始めた。 辰馬社長は自ら酒盃もデザインした。まないたに使われる高級木「さわら」で作った酒盃、花束をあしらった沙器酒盃、ぜいたく品水準の竹酒盃などを次々と出した。瓶(ボトル)も付近の京都の職人が作ったガラス工芸を取り入れて高級化した。名品の瓶に高級酒を入れて価値を高め、価格を上げた。 白鹿のロゴが入った沙器で作られた酒盃は8000円、木の酒盃は1万6000円で販売されている。日本でも高い方だが、オ