「言葉とは何か」と問われて、返答に窮して黙りこくってしまう人はそういない。この種の問題については、だれもが自分流の切り口を持っているものだ。だがそんな時、突然、「あなたが今話しているのは、それは言葉そのもののことではありませんね。」と言われたらどうだろう。はっとして振り返ると、自分の言っていたことがなにも言葉に限った話しではないことに気づく。言葉と同じ用途、性質、役割をもったものなど他にいくらでもあるものだと思い至る。\n 言語学が得意としてきたのは実はこうした譬え話である。「言葉のように見えて、ほんとうは言葉でないもの」は「言葉そのもの」よりもよっぽど扱うに易しいからである。\n ここでは、こうした「言葉のように見えるもの」が、言語学にもたらした功罪を考える。なぜなら、それは言語学にとって毒にも薬にもなってきたからである。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く