(英エコノミスト誌 2011年9月24日号) 世界で最も多くの情報を伝える金属 ロンドン南部ウエストノーウッドの単調な街並みに囲まれた公立図書館の閉ざされたドアが、経済指標になるとは誰も思わないだろう。 だが、閉館の事情――窃盗犯に屋根の銅板をはぎ取られ、館内の本に雨漏り被害が出た――を説明する物悲しい貼り紙は、世界経済の根本的な変化をほのめかしている。その変化の影響を最も直接的に受けている金属が、銅なのだ。 景気の先行指標 ロンドンの警察当局によれば、このウエストノーウッドの一件のような窃盗犯の件数と、国際的なコモディティー(商品)市場の動向には密接な相関関係があるという。 世界の至る所で、銅の価格上昇に伴い、銅の窃盗事件が急増した。銅線の盗難により、鉄道の遅延や通信網の補修に支障が生じるといった事態も伝えられている。 暖房用のボイラーや配管、エアコンなどがあさられている。犯罪者は明らか