【モスクワ=山口香子】ロシアのメドベージェフ大統領による北方領土・国後島訪問を巡り、日本政府が河野雅治・駐ロシア大使を一時帰国させたことを受け、ロシアのメディアには3日、両国関係の極端な悪化は好ましくないとの論調も出始めた。 有力紙コメルサント紙は、日露の経済界で動揺が広がっていると報じ、「日本と深刻に争えば(露政府が力を入れる)極東開発への投資は中国ばかりという結果になる」との露外務省筋の懸念を伝えた。同筋はロシアの方針に変わりはなく、平和条約締結後、歯舞と色丹の2島を引き渡す問題について検討する用意がある、と述べている。 経済紙ベドモスチは、社説で北方領土問題を取り上げ、「投資と領土を引き換えにすることもあり得るのか」と問題提起した。ただし、両国とも政治的に妥協に応じる用意はないとして、「解決には時間がかかる」と結論づけた。