自宅から、歩いて数分のところに、 ネイビーの塗料が塗られたシックで無駄のない外観に、2Fの素敵なデザインの窓がよく目立つ大きな家がある。 その大きさに反して、仰々しさを感じさせない出で立ちは、凛としてさえいる。 夕刻時に前を通ると2Fの窓からは、外からでもありありと分かる程度に、間接照明の灯りが美しく漏れている。 余すことなく漏れる灯りに、団欒と癒しを、そしてほんとうの豊さのようなものを行きずりの他人にまで感じさせてくれる。 あぁ、こんなお家に住んでみたい。 控えめに言って素晴らしすぎる造りなのだ。 その家が立って10年近く経つだろうか。 もの言わぬ巨匠 ―。 勝手にあだ名をつけさせてもらった。 その家を遠目に見て前を通るたび、心が温かさで満たされたような気持ちになる。 . . どんな土地へ行っても、無意識のうちに家の造りを観察してしまう癖がある。 ほんとうに不思議なことに、物心ついた頃か