エコノミストが懸念する統計不正の切実な問題点 重要だがどこかあやしかった毎月勤労調査にメス。統計の立て直しに向けた建設的議論を 武田淳 伊藤忠総研チーフエコノミスト 「注目すべき経済指標」の毎月勤労統計が…… 昨年の暮れ、新年の経済展望に関するアンケートの中に、「注目すべき経済指標」という問いがあった。回答として私は、昨今世間を騒がせている厚生労働省の「毎月勤労統計」を挙げた。 もちろん、その段階では、今や一大政治問題に発展した統計不正について指摘したかったわけではなかった。毎月勤労統計が賃金や雇用の状況を示すものであり、賃金の動向こそが、今年も景気拡大が続くかどうかのカギを握っていたためである。 そうした筆者の意とは関係なく、この統計の名前がメディアを通じて広く知られることになった経緯や問題点は、厚生労働省が1月11日発表した「毎月勤労統計調査において全数調査するとしていたところを一部抽