一昨年も見に行った「MOTHER~特攻の母 鳥濱トメ物語〜」を今年もまた見に行くことができた。元バレーボール選手の大林素子さんが主演女優をつとめ、2010年から毎年公演している舞台劇である。 主人公の「鳥濱トメ」という人物は実在の人物だ。九州は知覧の特攻隊基地近くで営んでいた食堂を軍の指定食堂にされ、多くの10〜20代の若者たちばかりだった特攻隊員たちから母のように慕われていたという。戦後、手のひらを返したように特攻隊員たちを侮辱し始め墓も作れなくなった世論のなか、鳥濱トメ氏は棒を立てて墓に見立てるところから始め、観音堂を立てるまでになった。 物語は終戦直後、そんな手のひらを返した世論の中、出撃直前の特攻隊員たちの姿を思い浮かべながら始まる。 俺がこの舞台が好き理由の一つは、劇中にあるこんな言葉が気に入ったからだ。 「戦争とは、爺が始め、おっさんが命令し、若者が死んでいく物語だ」 その性質