ホワイトネスという「欲望のモデル」 「アジア人にしてはハンサムね」──若い頃、よく白人女性にそう言われ、自分でもその通りだと思っていた。 2歳のときにアメリカ人夫妻の養子になってから、23歳で初めて故国の韓国に戻るまで、私のデート相手は白人女性ばかりだった。 白人性(ホワイトネス)――白人の両親の養子である私にとって、それが「欲望のモデル」だった。「アジア人にしては」が、私がもらえる最大限の褒め言葉であるかのようだった。 子供時代、わが家はほかのどの家族とも変わらないと、両親は私に言って聞かせた。そういう彼らは白人なのだから、その息子である私は彼らと同じ白人にならなければならない。両親の言葉を、私はそう受け止めた。 「白人だったら受け入れてもらえる」という思いは「受け入れてもらわなければならないのだから、白人にならなくては」という考えに変化した。 私は自分をはっきり見ることができていなかっ