(パコ・イグナシオ・タイボⅡほか著『ゲバラ コンゴ戦記1965』 現代企画室、1999年1月1日刊行)のための解説 一 本書がはじめて事実に即して明らかにしたように、ゲバラは一九六五年四月から同年十 一月までコンゴに「滞在」していたが、ゲバラの妻、アレイダ・マルチの語るところによ れば、ゲバラはこのコンゴ「滞在」に関してふたつの記録を遺しているという。ひとつは 現地で日々記していた『コンゴ日記』で、これはいまアレイダの手元に門外不出で保管さ れているようである。いまひとつは、本書の著者たちも閲覧できたという『革命戦争の道 程:コンゴ編』で、それは、本書の後半部が明らかにしているように、コンゴから撤退し タンザニアのダルエスサラームに数ヵ月間滞在していた間に、日記に拠りながらゲバラが 書き上げた総括文書である(註1)。 同一の経験に関してゲバラが二種類の文書を遺しているということは、彼の常の