先週、次の次の本の企画を編集者と話していて、「『悩む力』は75万部ですよ。ああいう本は書けませんか?」といわれたので、ブックオフで買って読んでみたが、途中で投げ出した。本書の主人公はウェーバーと漱石だが、きのう紹介した週刊東洋経済の特集でも、いまだに『プロ倫』を古典と信じている人が多いので、基本的な事実関係だけコメントしておこう。 前の記事でも書いたように、『プロ倫』には事実誤認が多い。フランクリンは、カルヴィニストではなく理神論者(Deist)だと自分で書いている。イギリスでも資本家にはアングリカンが多く、カルヴィニストは少数派だった。またウェーバーによれば、資本主義が西欧で生まれたのは19世紀ということになっているが、最初の株式会社ができたのは17世紀であり、イギリスで資本や利子の概念が法的に公認されたのは13世紀だ。 ウォーラーステインの見方でいえば、資本主義的な近代世界システム