去る9月6日に映画監督の黒澤明氏が亡くなられました。1985年に封切られた映画「乱」は黒澤明監督が心血を注いで作られた作品であり、その音楽は故武満徹氏が作曲し、札幌交響楽団が演奏しました。各方面からお問い合わせがありましたので、本号ではその時の模様の一部をお伝えします。 「乱」の総制作費は約80億円程とか聞いています。日本では資金が集まり切らなくて、フランスやイギリスなどからも資金提供を受けた国際的な映画作品でした。 一般的に映画の音楽は、作曲家が予め映画監督からストーリーと監督手書きの絵コンテを受け取ってイメージ作りや音作りの準備をするそうで、「乱」の場合も、予め絵コンテなどを受け取ってイメージ作りをしたそうですが、本格的に作曲に取り掛かったのは、前年の10月に出来たラッシュ(未編集の試写用映画フィルム)を見てからの5か月間だったそうです。武満さんが千歳へ音入れに来られた時にはくたくたに