信用できない情報の代名詞とされる「大本営発表」。その由来は、日本軍の最高司令部「大本営」にあります。政治の中心でなぜ、情報の改竄、捏造、隠蔽が起きるのでしょうか? 今なお、その病理が続く日本。2016年に発売された辻田真佐憲さんの『大本営発表~改竄・隠蔽・捏造の太平洋戦争~』は、正確な情報公開を軽視する政治の悲劇、悲惨さを教えてくれます。真珠湾攻撃から80年後の今も忘れてはならない出来事です。あらためて「大本営発表」の歴史を繙きます。 忘れられた太平洋戦争以前の大本営発表 一九四一年十二月八日、午前七時前。日本放送協会のアナウンサー館野守男は、まもなくはじまるニュース放送に備え、スタジオのマイクの前で待機していた。「何かあるな」という予感はあった。前日の夜更けに、幹部がアナウンサーの部屋を見回りにきたからだ。ただこのときはまだ、いつもと変わらない、放送前の静寂なひとこまにすぎなかった。 と
京都市のアニメ製作会社「京都アニメーション」(京アニ)第1スタジオが放火され、36人が死亡した事件は、京都府警が全犠牲者(後に死亡した1人を除く)の実名を報道機関に発表するまで40日を要する異例の展開をたどった。表向きの理由は「遺族や会社側の意向を丁寧に聴き取り、葬儀の実施状況を考慮し、広報のタイミングを慎重に検討してきた結果」。内実はどうか。一連の取材から浮かび上がるのは、警察庁や政治家の意向に翻弄(ほんろう)された府警の姿だ。 【動画】出火直後の京都アニメーション第1スタジオ 京アニ事件の安否情報発表の経緯が判然としない中、ある人物の発言が物議を醸した。 8月29日、超党派の「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」(MANGA議連)の役員会が東京都内で開かれた。同議連は麻生太郎副総理が最高顧問を務め、議連会長の古屋圭司衆院議員(自民党)は、警察庁を管理する国家公安委員会の委員長を務め
「調査報道は権力をもつ人や組織の不正行為を暴き、自分の声を届ける場をもたない人たちに、その機会を与えることもできる」 2016年の、年が明けて間もない頃だったと思う。ジャーナリストとして生きのびる場所を求め、なかば逃げるように乗った成田発ロンドン・ヒースロー行きの薄暗い飛行機のなかだった。薄いブランケットにくるまって、機内の小さなスクリーンで映画『SPOTLIGHT』(2015年公開、アカデミー作品賞・脚本賞受賞。日本では『スポットライト 世紀のスクープ』の邦題で翌年公開)を観た衝撃は大きかった。 実話を基にしたこの映画は、カトリック教会の神父たちによる幼い子どもへの性的虐待事件を地元紙ボストン・グローブの取材班、「スポットライト」チームが追うというもの。1970年にスタートした「スポットライト」は、アメリカの新聞のなかでも最も長い歴史のある調査報道チームだ。 幼少期に性暴力の被害を受けた
教科書では、カギかっこ(「 」)の中でも文の終わりに当たるところには句点(。)を打っているのに、新聞では閉じかっこの直前に句点を付けていないのはなぜか、というお尋ねをいただいたことがあります。 「小学国語2下」(教育出版)の「ないた赤おに」より このご指摘はその通りで、行政の公用文や教科書などはカギかっこの中でも文の終止に句点を打つのが標準とされています。これは、1946年3月に当時の文部省教科書局調査課国語調査室で作成した「くぎり符号の使ひ方〔句読法〕(案)」という文書にのっとったものです。表題に「(案)」とありますように、この文書は内閣告示のような正式文書になりませんでした。しかし、句読点に関する公式機関の文書がこれ以外にほぼなかったため、「(案)」のままでいろいろな資料に収録されていて、現在もこれに準拠していることが多いのです。 さて、このような文書があるにもかかわらず、新聞が閉じか
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く