ちょっとした油断で仕事の定石を破ってしまい、そのしっぺ返しとして思わぬ面倒を引き起こす。こんなことが往々にしてある。筆者の知人であるAさんから聞いた話だ。 AさんはX社のシステム部に勤務する中堅SE。Aさんがある小さな開発案件の発注業務を担当したときのことだ。特定部署だけで使用する情報系システムで1~2人月程度の規模であったが、開発を外注する場合は複数の外注先にRFP(提案依頼書)を提示し、相見積もりを取るのが社内ルールとなっていた。 Aさんは数枚の簡単なRFPを書いて、いよいよ外注先に声を掛けることになった。声を掛ける相手としては個人事業主として取引実績があったBさんが第一候補としてすぐに頭に浮かんだ。ほかにいくつかの受託開発ソフトウエア会社が候補に挙がったが、案件の規模と内容から「Bさん以外の会社は面倒くさがって受けてくれないか、価格が折り合いそうにないな」と思っていた。 実際に数社に