Haskellの静的な型検査は強力ですが,プログラムの実行時に起こり得るすべての問題を解決できるわけではありません。例えば第5回で指摘したように,依存型を持たない現在の標準Haskellでは,検証できる問題の範囲に限界があります。また,FFIを使って呼び出す外部関数には,Haskellの型検査は行き届きません。実行前に静的に解決できない問題は,実行時に動的に解決する必要があります。このための手段を提供するのが例外処理です。 例外処理については,これまで何度か断片的に説明しましたが,全体像をまとめて解説したことはありませんでした。次回以降にFFIと例外処理との関係について説明する前に,今回はHaskellの例外処理についてきちんと説明しておきましょう。 例外処理の仕組みは,GHC 6.10に収録されるbase 4.0パッケージ以降で大きく変更されます。baseパッケージはデファクト・スタンダ