「筆の動きにしびれた」「本当は真面目」-。県水墨美術館で開催中の企画展「鬼才-河鍋暁斎(きょうさい)展 幕末と明治を生きた絵師」で、緻密でユーモラスな作風で知られる画家の山口晃さんと、暁斎のひ孫で河鍋暁斎記念美術館(埼玉)の河鍋楠美(くすみ)館長が対談した。代表作を決められないほど多彩な暁斎の“ミラクル”な魅力を語り合った。進行役は愛知・碧南市藤井達吉現代美術館の木本文平館長が務めた。 -今の若い美術家は日本の近代洋画には目を向けない。むしろ若冲や暁斎のような奇想の系譜の絵師に関心を持つ。作家として暁斎をどう思うか。 山口 「最初に暁斎の戯画や狂画を集めた展覧会では『反骨の画家』という面が強調され、あくが強くて辟易(へきえき)とした。しかし、2008年の京都国立博物館で肉筆を集めた展覧会では問答無用でしびれた。筆さばきにびっくりした。暁斎は近代をジャンプし、近世の遺伝子を現代でそのまま