※ ミランダ・ジュライ、岸本佐知子訳『最初の悪い男』を読んだ方を想定しています。作品の展開に触れている部分があります。 いちこ(ブログ「イチニクス遊覧日記」、「ポテトチップス・ラブ」) 槙野さやか(ブログ「傘をひらいて、空を」) いちこ:そろそろ『最初の悪い男』の話をしたほうがいいですか。 さやか:失礼しました、気がついたら普通のおしゃべりになってました。冒頭からいきますか、冒頭からしばらく、主人公(シェリル)の生活の話ですよね。どういう女性だと思われましたか。仕事以外の私生活に他人の気配がなくて、ちょっと妙なルールにのっとって規則正しく生活していますよね。 いちこ:そうですね……、すごくプライドの高い人なのかな?と思いました。 さやか:プライド。 いちこ:思うに、彼女の”システム”に則った生活に他人の気配がないのは、他者の視線がそこに入り込んでしまったら、自分の生活、つまり自分自身の価値