IT企業やシリコンバレーの世界を描いた本は数多くあります。イノベーションを起こした企業の サクセスストーリーや仕事術について書いた本などが主流ですが、同じシリコンバレーを舞台にしていても本書はかなり異色です。著者のアントニオ・ガルシア・マルティネスは物理学の博士課程を中断し、ウォール街のトレーディングデスクで働いていましたが、2008年の金融危機を目の当たりにして「アメリカ経済の終焉がきても生き残る」と感じたシリコンバレーへやってきます。そこで中堅スタートアップの社員、スタートアップ創業者、Facebookの社員という三つの仕事を通して奮闘した約5年の体験を、痛烈な皮肉と暴露、そして、ユーモア満載で語りつくしたのが本書です。本人がラジオのインタビューで「この本は心地よく優しくはないが、それはシリコンバレーが心地よく優しい場所ではないからだ」と述べていて、なかなか挑戦的です。 本書は2016