十五歳でブタ箱へ、感化院から予科練。そして敗戦後の焼け跡闇市時代。地元ヤクザ集団との血みどろの抗争を経て、いつか安藤は、激烈な戦闘集団を作り出していた・・・。時代の混沌は安藤の人生流転とすっぽり重なる。 「予科練の特攻さんかい。本当にたいへんだったね。うちの子も終戦間際に兵隊に行って、戦死しちまった。どうせ、負けるんなら、もうちっと早くくれりゃ助かったのにねぇ……。さあ、これはおまけだよ」 丼に半分おまけをよそってくれたおばさんは涙ぐんでいた。息子さんを思い出してのかもしれない。 目の前にも、そこにもここにも”悲劇”はころがっていた。 <敗戦日本、これからは国民一人一人が、足に鎖をつけて歩いて行かなけりゃならない。目的も希望もない苦難な道。その道は果てしがないかもしれない。だが、俺は、負けやしねえぞ!> 腹が満たされると、中学時代の不良仲間を捜し求めて歩いた。