江原 遥 先生(東京学芸大学) 題目: 項目反応理論と自然言語処理 概要: 項目反応理論(Item Response Theory, IRT)は,何らかの試験結果データから「能力」や「難易度」を自動的に推定する場面などで用いられる複数のモデルの総称であり,近年は自然言語処理のシステム評価などの論文でも活用される機会が増えている.項目反応理論は,例えば,能力と難易度が相互に比較可能な尺度になっていてその差に意味があるなど,「能力」や「難易度」といった自然言語処理でも使いたくなる場面の多い概念に対して,それらが持っているべき性質を考えたうえでモデルが設計されているため,モデリングの参考になる.さらに,項目反応理論の一部は,ニューラルモデルとしても記述できるので,近年のニューラルな自然言語処理のモデルとも親和性が高い.本チュートリアルでは,項目反応理論が能力や難易度についてどのような性質を仮定し