以前、こんな内容の本を読んだことがある。人権や公正さを求める論者が、ある国の軍事組織の委員になった。その人自身は軍そのものに割に批判的だが、現実に軍が存在している以上、内部からその組織の方向性を少しでも変えようと目論む。そして、会議で影響力を持つためには相手と同じ語彙で語る必要があるため、徐々に軍事組織の仕組みや用語等を覚えていく。しかしその言葉を使っているうち、いつの間にか「軍事的効率」といった発想を、無自覚のうちにしてしまいそうになることに気づき、はっとするというものだ(それにしても何の本だっけ。本棚ひっくり返してるんだけど、みあたらねー!)。 思考や議論の場において、「議題設定」が重要であることは頻繁に指摘されている。どのような問いを立てるかが、既にある程度、結論のあり方を決定付けてしまうというように。それと同様に重要になるのは、「語彙の選択」だ。どのような語彙(群)を選択するかは、