約7年8カ月に及んだ第2次安倍政権下でたびたび問題視されてきたのが、中央省庁の幹部官僚が首相官邸の顔色をうかがう「忖度(そんたく)」だ。2014年に発足した内閣人事局が幹部官僚の人事権を掌握し、官僚に対する首相官邸の力が強くなりすぎたことによる弊害とも言われる。長期政権は官僚組織にどのような変化をもたらしたのか。元文部科学事務次官の前川喜平さん(65)と、作家で元外務省主任分析官の佐藤優さん(60)に聞いた。 前川喜平氏「権力の維持のため人事権を150%行使」 「霞が関全体が安倍官邸の下僕、私兵と化してしまった」。そう総括するのは安倍政権下で文科官僚のトップを務めた前川さんだ。本来、それぞれの分野に精通している各省庁の幹部は官邸に政策を提示しなければならない。ところが「各省庁の知識や経験、専門性はないがしろにされ、『これは変じゃないか』と思うようなものを無理やりやらされることはしょっちゅう