わが子に会いたい――ただそのために、命を投げ出そうとしている父親がいる。ヴィンセント・フィショ(39歳)、日本在住15年のフランス人、野村証券のエグゼクティブ・ディレクターとして株などのセールス・トレーディングを担当してきたエリートだ。 2018年8月10日、日本人の妻に子ども達を連れ去られ、以来、日本で、警察にも、司法にも、政治にも、マスコミにも、できる限りの手を尽くしてきたが、二人の子ども達とは引き離されたまま、一度たりとも面会さえできていない。 その彼が、東京オリンピック国立競技場の前で、ハンガーストライキに入った。ドクターストップも受け入れない命がけの勝負だ。開会式の23日まで、生きていられるかどうかもわからない。 「翼、楓、パパはここにいる。大好きだよ。」もうフランス語がわからなくなってしまっているであろうわが子に語り掛ける時、彼の声は涙声になる。一目会いたい。遊んでやりたい。オ