政府が掲げる成長戦略の目玉の一つとされる法人税減税。財務省OBで日本の税制に精通する筆者は、減税財源を課税ベースの拡大によってまかなう一方、さらなる「法人税改革」に踏み込むべきだと提言する。 日本の法人税は世界2番目の高率 6月24日閣議決定された「骨太方針2014」(以下「骨太」)は、「数年で法人実効税率を20%台まで引き下げることを目指す」とした。そしてその目的は「日本の立地競争力を強化するとともに、我が国企業の競争力を高めること」と記述した。 冷戦が終了した1990年代以降、旧東欧諸国に端を発した法人税引き下げ競争は全世界を巻き込んだ。OECD諸国の法人税率は20年間で平均して20%程度引き下がったのである。 わが国もこのような流れから独立してはおられず、1998年、99年、2012年に税率を引き下げたのだが、いまだ先進諸外国と比べて数%、アジア諸国と比べると10%高く、米国について