JBICは1950年に、当時の大蔵相・池田勇人によって設立された「日本輸出入銀行」を前身とする政府系金融機関で、大蔵省の有力天下り先として長年、事務次官経験者などが総裁を務めてきた。 しかし、小泉純一郎首相(当時)による民営化の流れを受け、2012年に奥田碩氏(元トヨタ自動車社長・会長)が総裁に就いて以降、渡辺博史氏(元財務官)を除き、民間出身が総裁を務めてきた。とくに現在の前田匡史氏はプロパー初の総裁だ。このため前田氏の後任も生え抜きから登用されるのではないかとの見方もあったが、最終的に財務省OBの昇格で決着した。 コロナ禍、ウクライナ侵攻を機に復権しつつある 財務省がかつて「天領」と称された政府系金融機関トップの座を奪い返したことに、政界から異論は出ていない。そればかりか、JBIC以外にも政府系金融機関トップに財務省OBが復権しつつある。財務省は、政界や世論の天下り批判を受けて政府系金