攻撃目標を探知し、自ら敵を選別して殺傷する「殺人ロボット兵器」の規制策を話し合う初の公式政府専門家会議が、来年ジュネーブで始まる見通しとなった。条約策定に向けた議論が始まることを意味する。人工知能(AI)の急速な発達と対照的に殺人ロボットの規制論議は進んでおらず、非政府組織(NGO)の間では開発禁止を求める運動も広がってきた。 殺人ロボットはまだ存在しないとされ、表向き開発に関心を示している国はない。ただ実戦に投入すれば、自軍兵士の犠牲を減らすことが期待できる。「国際法に基づくプログラムを組み込めば、非人道的殺傷はしない」との考え方もある。 しかし問題点は多岐にわたる。機械は故障がつきもの。テロリストが入手した場合の危険は計り知れない。兵士の人命を気にする必要がなくなり、開戦のハードルが下がりかねない。法的責任は誰が負うのか。そしてそもそも人間の生死を機械に委ねていいのか、という倫理的問題