無実の罪で20年という途方もない年月を獄中で過ごした女性がいる。青木惠子さん(53歳)。無期懲役から一転、無罪で釈放されたとき、青木さんは51歳だった。事件当時のまま時が止まっているという青木さん。えん罪で奪われた人生と、家族の絆を取り戻そうとする姿を追った。 1995年、夏。大阪市東住吉区で火事が発生し、入浴中だった小学6年生の少女が逃げ遅れて命を落とす事件が起きた。放火殺人の容疑で逮捕されたのは少女の母親とその内縁の夫だった。動機とされたのは保険金。新聞や雑誌にはセンセーショナルな見出しが踊り、母親は無期懲役の判決を受けた。 しかし、母親は獄中で無実を訴え続けた。 そして20年後。裁判がやり直され、母親は無罪となった。釈放された彼女を迎えたのは、当時8歳で別れ、31歳になった息子だった。 「20年ぶりに8歳で別れた息子の手をつかめて、離された時間だけがいくら無罪になっても取り返すことが