菅義偉官房長官の記者会見に関して首相官邸側が「内閣記者会」(記者クラブ)に出した文書が国会でも取り上げられ始めた。東京新聞の特定の記者の質問が事実誤認であり、「問題行為」だとする文書である。 政府は「記者の質問を制限する意図はない」との答弁書を閣議決定したが、かねて政権に批判的な立場から質問を続けているこの記者を苦々しく思っていたのは確かだろう。 こうした文書を出すこと自体が自由な質問を阻み、批判的な記者の排除につながる恐れがある。まず官邸はそうした姿勢を改めるべきだ。 記者会への文書は昨年末、出された。米軍普天間飛行場移設に伴う土砂投入をめぐる同紙記者の質問に対し、正確な事実を踏まえた質問をするよう申し入れたものだ。 大きな問題点はここにある。仮に質問が事実でないのなら、その場で丁寧に正せば済む話だからだ。 しかも官邸の認識を記者会も共有するよう求めている。狙いは報道全体への介入や規制に