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ブックマーク / knakayam.exblog.jp (8)

  • 伊達判決の先見性 | 中山研一の刑法学ブログ

    参議院選挙を前にして、消費税の問題などに論点が移ってしまい、沖縄の普天間基地の問題がもう落着したかのような状況が見られます。マスコミにも、沖縄の基地問題を取り上げる記事はほとんど見当たらず、「沖縄の人の声」はかき消されています。 その沖縄の人の声の中に「基地は要らない、戦争に巻き込まれる」という発言があったことを思い出しましたが、この「戦争に巻き込まれる」という言葉は、かつて1959年(昭和34年)に米軍基地の存在を違憲と断じた「砂川事件」に関する伊達秋雄裁判官(ほか2名)の判決(東京地裁昭34・3・30)の中にすでに存在していました。 「わが国に駐留する合衆国軍隊はただ単にわが国に加えられる武力攻撃に対する防御若しくは内乱等の鎮圧の援助にのみ使用されるものではなく、合衆国が極東における国際平和と安全の維持のために事態が武力攻撃に発展する場合であるとして、戦略上必要と判断した際にも当然日

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  • 日本政府の怠慢 | 中山研一の刑法学ブログ

    政府の行政機関は、省令の改正などを行う際に、最近では、事前に「パブリックコメント」を求めることがありますが、その締め切り期間が非常に短いために、提出される意見は極めて少なく、しかも反対意見がほとんどであっても、原案を修正することなく施行してしまうというのが現実です。形式的なアリバイ作りの感さえあります。 ところが、文書等の提出期限を国民の側には厳格に遵守させているその政府が、正式の国際機関から要請された期限付きの報告書の提出については、大幅に期限を超過しても平気で居直っているという場面があるのです。これは、国連の自由権規約委員会からの勧告にからむもので、前回の1998年11月の規約委員会の審査と所見に対する5年後という報告書の提出期限を3年も超過して、政府の報告書が提出されたのは2006年12月でした。 その上に、提出された日政府の報告書は、その内容が前回とほとんど変らない官僚的な作文の

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    sarutoru
    sarutoru 2009/02/28
    国連自由権規約委員会からの勧告
  • 責任無能力者の故意 | 中山研一の刑法学ブログ

    これは「刑法学ブログ」ですので、すこしむずかしい専門的なことも書いておきます。 心身喪失者等医療観察法は、心身喪失等の状態で、殺人、放火、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害といった重大な他害行為(「対象行為」)を行った者に適用されることになっていますが、行為者が幻聴妄想等に基づいてこれらの行為を行ったときは、自分がやったといわれる行為については何も憶えていないとか、場合によっては、自分の身に降りかかる侵害を払いのけるためにやったと思い込んでいるような場合があり得ます。 これらの場合には、行為者には責任能力がないので刑罰は科されませんが、そのまま医療観察法上の「対象行為」があったと判断してのよいのかという問題が生じます。 従来は、行為者が現にこれらの重大な他害行為を実際におこなっているのだから、それだけで「対象行為」があったと判断して、医療観法による指定入院機関への入院や通院等の処分をすること

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    sarutoru
    sarutoru 2008/07/28
    最高裁判例(最決平20・6.18)
  • 日本の警察・検察の超保守性 | 中山研一の刑法学ブログ

    警察・検察による容疑者の取り調べについて、全面的な録音・録画(可視化)を義務づける民主党提出の刑事訴訟法改正案が、6月3日、参議院で可決され、衆議院に送られました。しかし、政府与党は警察・検察ともに、「全面的に可視化すると取調べで真実の供述を引き出しにくくなり、捜査に支障を来たす」として反対していますので、可決される可能性はないようです。 ところが、このブログでも紹介しましたように、西欧諸国だけでなく、お隣の韓国台湾でも、法務当局自身がこれまでの密室取調べの悪弊を認めて、取調べ過程の全面的な録音・録画(可視化)を認める方向に舵を切りつつあるのです。 韓国の国立警察大学校の李東熹教授によりますと、韓国警察庁は、すでに2003年の段階で取調べの全過程を録音・録画するという方針を打ち出し、韓国の法務部・大検察庁も、取調べ全過程の録音・録画制度を導入する趣旨が、捜査手続の科学化を促進し、また人権

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    sarutoru
    sarutoru 2008/06/09
    国際比較の視点
  • 韓国の陪審制度 | 中山研一の刑法学ブログ

    わが国では、いま、国民の司法参加という名のもとに、いわゆる裁判員制度の導入が来年5月から施行と決まっており、表面上は着々と準備が進んでいるように見えますが、しかし実際には、国民の間の市民参加への関心は予想外に低く、法曹専門家の間にも異論があり、延期論まで出ているという状況にあります。それが、絶望的といわれるわが国の刑事司法の改革につながるのかという点からしますと、市民参加によっても、代用監獄における密室での長時間の取調べ、長い勾留期間、極端に低い無罪率、死刑判決の増加といった現状にメスが入るという保障がないところに悲観論に傾く根拠があると思われます。 これに対して、お隣りの韓国でも、陪審法(刑事裁判参与法)が2007年6月に制定され、すでに施行されていますが、その内容には、きわめて注目すべき点があります。そこでは、アメリカ風の陪審制度が導入されたのですが、何人も国民参与裁判を受ける権利があ

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  • 表現の自由の優越的地位 | 中山研一の刑法学ブログ

    最近、政党ビラを共同住宅内のポストに投函する行為が、住居侵入罪に当たるかという問題が裁判で深刻に争われています。立川自衛隊宿舎の事件も、葛飾のマンション事件も、第1審は無罪判決であったものが、第2審(控訴審)では、いずれも逆転して有罪判決が出ています。 専門的な観点からの問題は多くありますが、ここでは、これらの行為が、政治的な表現の自由に当たる行為であり、とくに立川事件の第1審判決が、はっきりと、「被告人らによるビラの投函自体は、憲法21条1項の保障する政治的表現活動の一態様であり、民主主義社会の根幹をなすものとして、同法22条1項により保障されると解される営業活動の一類型である商業宣伝ビラの投函に比して、いわゆる優越的地位が認められている」と明言していたことを想起する必要があります。 ところが、実際には、政治的なビラの投函の方だけが嫌疑をかけられて捜査され、有罪の方向に導かれやすいのに対

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    sarutoru
    sarutoru 2007/12/27
    とくに立川事件の第1審判決が、はっきりと
  • 40年の平裁判官 | 中山研一の刑法学ブログ

    最近の『青年法律家』という雑誌(青年法律家協会弁護士学者合同部会発行、434号、2007年4月26日)には、24歳から65歳まで約40年間、転勤もせず、裁判長や地裁所長、高裁長官などには一切出世もしない「平の裁判官」としての道を淡々と歩んだ下澤悦夫氏の手記が掲載されています。これはぜひ一読の価値があると思い、紹介することにしました。 注目すべき多くのことが書かれていますが、ここでは、裁判官の再任・転勤問題について書かれているところを、以下に引用しておきます。 「裁判官再任問題―転勤問題は、裁判官のあり方を規定する重要な問題です。再任されるかどうか、おそるおそる10年目を迎えるということは、裁判官にとって非常に負担になっています。でありながら、定年までキャアリア裁判官として転勤しながら、昇級していくというキャリアシステムもとっている。そうしたキャアリアシステムをとりながら、10年で再任するか

    40年の平裁判官 | 中山研一の刑法学ブログ
    sarutoru
    sarutoru 2007/05/13
    係属している事件の途中でも、時期がくれば裁判官が変わるというのが常態化している現状の中で、これに抵抗する裁判官もいることに共感し拍手を送りたい気持ちです
  • 共謀罪のこと | 中山研一の刑法学ブログ

    いわゆる「共謀罪」の立法化は、修正案が出て、まだ予断を許さない状況ですが、近着の刑法雑誌(46巻2号)に、政府委員の経験も長い元大阪高検検事長の東条伸一郎氏(明治学院大学教授)の注目すべき発言が紹介されていますので、少し長いのですが、引用しておきます。 「実務家の感覚としては、今回の経緯から見て、いずれば『共謀罪』という形で入ってくるのは間違いないと思われるが、音では、賛成していない。法執行機関が相手にしているものは、ほとんどの場合、結果(あるいは未遂)が発生している犯罪である。捜査は、これらの結果が出た犯罪については、行為者から始まって、その背景には何があるのかということで進んで行き、共謀共同正犯にまでたどり着く。ところが、今後の共謀罪というのは、後ろの結果の部分がない。いきなり共謀のみが問題となる。結果から遡って捜査を進めてきた現場の捜査官とすれば、共謀というのは非常にやりにくい。

    共謀罪のこと | 中山研一の刑法学ブログ
    sarutoru
    sarutoru 2007/03/19
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