9月に公開され、いまも都内を始め日本全国でロングラン公開中の映画『福田村事件』。1923年、関東大震災の混乱の中で、千葉県東葛飾郡福田村(当時)の自警団が、讃岐(香川県)からやってきた行商団を襲い、9人の日本人の命が奪われた実際の事件がテーマになっている。 痛ましい事件の背景にあったのは、震災後特に強まった朝鮮人に対する「流言飛語」であり、そしてそれに基づいて朝鮮人の虐殺自体も行われたとされている。本作は、この10月に行われた韓国・釜山映画祭に招待され、コンペティション部門で「ニューカレンツ最優秀作品賞」を獲得したことは、映画界を超えて衝撃を与えた。 同映画祭に足を運んだのは、主演・井浦新(澤田智一役)。現代の日本以上に重い意味を持って受け取られたであろう韓国での上映を前に、映画が今の時代に語りかけるものについて、釜山でインタビューを敢行した。 (取材・文/渥美志保) 日本人が日本人を虐殺