内田樹(うちだ・たつる)/1950年、東京都生まれ。思想家・武道家。東京大学文学部仏文科卒業。専門はフランス現代思想。神戸女学院大学名誉教授、京都精華大学客員教授、合気道凱風館館長。近著に『街場の天皇論』、主な著書は『直感は割と正しい 内田樹の大市民講座』『アジア辺境論 これが日本の生きる道』など多数この記事の写真をすべて見る 麻生財務相のセクハラ問題発言。こういう展開を予測しなかったのか?(※写真はイメージ) 哲学者の内田樹さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。時事問題に、倫理的視点からアプローチします。 * * * 麻生太郎財務相が、前財務事務次官のセクハラ問題について「セクハラ罪という罪はない」「殺人とか強制わいせつとは違う」などと発言して、いったん鎮火したはずの財務省セクハラ問題を再燃させている。 大臣がこういう展開を予測しないで不用意な発言をしたのだとすれ