埼玉県狭山市で1963年5月に女子高校生が殺害された「狭山事件」。冤罪(えんざい)を訴える石川一雄さんが1審の浦和地裁(現さいたま地裁)で死刑判決(確定判決は無期懲役)を受けてから3月11日で60年を迎える。18年目を迎えた第3次再審請求の進展が見通せない中、実兄として事件に向き合ってきた石川六造さん(88)がインタビューに応じた。自身も事件への関与を疑われたことを初めて明かすなど、当時の状況を生々しく語った。【隈元浩彦】 ――第3次再審は18年目を迎えました。
東京地裁が「逮捕も起訴も国家賠償法に照らして違法」と断じた大川原化工機冤罪(えんざい)事件。判決は確定せず、控訴審で争われることになった。 2023年12月27日、東京地裁(桃崎剛裁判長)は国と東京都に約1億6000万円の賠償を命じた。これに対し、国と東京都は控訴期限の2024年1月10日、午後4時台になって控訴。大川原化工機の大川原正明社長ら原告も同日午後5時に控訴した。翌11日、原告と被告の双方がコメントを発した。 東京地検の新河隆志次席検事は定例記者会見で「国が控訴していることは承知している」と述べた。大川原社長など原告らが「国や都が謝罪してくれれば控訴しなかった」としている点については「現時点でお答えは差し控える」とコメントを避けつつ、「念のために言うが、国が控訴したのであって、検察庁が控訴したわけではない」と付け加えた。 警察庁の露木康浩長官は定例記者会見で「警視庁で精査した結果
2020年3月、大川原化工機株式会社(本社・神奈川県横浜市)の社長ら3人が「武器に転用できる機械を中国に違法輸出した」という外為法違反の容疑で警視庁公安部に逮捕された。3人は1年近く勾留された末、公判直前に起訴が取り消され、検察は事実上の「敗北」を認めた。有識者の立場で警察に意見を伝えた防衛医科大学校の四ノ宮成祥(※正しくは示へんに羊)校長は、警察が作成した報告書の内容に異議を唱える。事件の詳細については、〈警視庁公安部のお粗末すぎる捜査…国賠訴訟を起こした大川原化工機幹部が語る「中国不正輸出冤罪事件」全真相〉で解説している。【粟野仁雄/ジャーナリスト】 【写真】生物兵器に転用できるとされた「噴霧乾燥機(スプレードライヤ)」と大川原社長 滅菌、殺菌、消毒を誤用 生物兵器の製造に転用できる機械の輸出を規制する外国為替及び外国貿易法(外為法)違反の対象とされたのは、大川原化工機の主力製品「噴霧
東京地裁前の大川原社長(左)と島田氏(右=本人の注文により、後ろ姿)。(撮影/粟野仁雄) 2020年3月、警視庁公安部は横浜市の機械メーカー「大川原化工機」の大川原正明社長ら幹部3人を「兵器転用できる噴霧乾燥機(液体等を粉末にする機械・スプレードライヤ)を中国へ不正輸出した」との外為法違反容疑で逮捕した(後に韓国向けも追加)。だが、3人を起訴した東京地検は初公判直前の21年7月、「法規制に該当することの立証が困難」と突然起訴を取り消し、東京地裁は公訴を棄却。刑事裁判は終了した。 一貫して容疑を否認した大川原社長と島田順司元取締役の勾留は21年2月まで約11カ月間続いた。途中で体調を崩し胃がんと判明した相嶋静夫元顧問は勾留執行停止されたが、元顧問は同年2月に死去。不正輸出報道で同社は存亡の危機に陥った。同年9月、大川原社長や相嶋氏の遺族が東京都(警視庁)と国(東京地検)に対し「逮捕や起訴は違
軍事転用が可能な精密機器を不正に輸出したとして逮捕・起訴され、初公判の直前になって起訴を取り消された横浜市の会社の社長などが、国と東京都に賠償を求めている裁判が30日に開かれ、証人として出廷した警視庁の捜査員が、捜査の進め方に疑問があったという認識を示し、当時の対応を批判しました。 横浜市の化学機械メーカー「大川原化工機」の社長など幹部3人は3年前、生物兵器の製造などに使われるおそれがあるとして輸出が規制されている機器を不正に輸出した疑いで警視庁に逮捕されましたが、起訴後の再捜査で機器が規制の対象にあたらない可能性があることが分かり、初公判の直前になって起訴を取り消されました。 3人のうち1人は勾留中に病気で亡くなっていて、社長たちは「立件ありきの不当な捜査で精神的な苦痛を受けた」として国と東京都に賠償を求めています。 6月30日の裁判では、捜査を担当した警視庁の警察官4人が当時の状況など
大川原化工機(神奈川県横浜市)の冤罪事件で同社の大川原正明社長らが起こした国家賠償訴訟。6月30日には警視庁公安部の警部補から驚きの「捏造告白」が飛び出した。7月5日には大川原社長らを外為法違反容疑で起訴した東京地検の検事の証人尋問が行われ、彼女の口から「謝罪しません」という発言が飛び出した。【粟野仁雄/ジャーナリスト】 【写真】生物兵器に転用できるとされた「噴霧乾燥機(スプレードライヤ)」と大川原社長 経産省は「不正輸出とするのは無理」 2020年、大川原化工機の大川原社長ら同社幹部の3人は、「武器に転用できる噴霧乾燥機を中国に不正輸出した」との外国為替及び外国貿易法(外為法)違反容疑で、警視庁公安部に逮捕、起訴された。しかし、東京地検は、初公判の直前に起訴を取り消し。大川原社長らは11カ月月も勾留され、その間に胃がんが悪化した同社顧問の相嶋静夫氏は、勾留は停止されたものの治療が間に合わ
軍事転用可能な機器を輸出したとして逮捕・起訴され、その後一転して起訴が取り消されたメーカー「大川原化工機」の大川原正明社長(74)らが、東京都と国に計約5億6000万円の損害賠償を求めた訴訟。6月30日には、捜査を担当した警視庁公安部の男性警部補が証人として出廷し、自ら「(事件は)捏造です」と証言する異例の展開を迎えた。 写真はイメージ ©iStock 「同社は液体を粉末に加工する『噴霧乾燥機』で、国内トップのシェアを占めます。警視庁や東京地検がかけた疑惑は、この噴霧乾燥機に生物兵器に転用できる滅菌機能があり、輸出の際に必要な国の許可を得ていなかった、というものでした」(司法担当記者) 警視庁公安部は2018年10月、同社を外為法違反容疑で家宅捜索に踏み切った。大川原氏らは誤解を解くべく、機器の図面を提供するなど全面協力。幹部らが300回弱の任意聴取に応じたが、20年3月に大川原氏ら幹部3
大阪城公園のほとりにひときわ目立つガラス張りの超高層ビル「クリスタルタワー」での栄華を誇った社長生活から一転、たった3畳の独房暮らしへ。分譲マンション供給戸数が全国有数で東証1部上場(その後東証スタンダードに移行)の不動産会社プレサンスコーポレーションの創業社長だった山岸忍さん(60)は、無実の罪で大阪地検特捜部に逮捕され、拘置所での勾留生活を余儀なくされた。会社倒産の危機を前に、一代で築いた売上高2000億円超の会社も泣く泣く手放した。 だが山岸さんは約2年後、無罪判決を得て冤罪を晴らす。検事のからめ手による攻略にも、うそなく認識通りのことを答える「単純で率直な思考」の流儀で対抗した。無罪確定後も検察サイドが謝罪も検証もしないことに怒りを隠さず、国を相手取った賠償の請求や言論活動で闘いを続けている。その心境を聞いた。(共同通信=武田惇志) ▽21億円横領事件に発展 2015年12月、山岸
一九九八年七月に六〇人以上が死傷した和歌山カレー事件からもうすぐ一五年。殺人罪などに問われ、二〇〇九年に死刑が確定した林眞須美さん(五一歳)は現在も無実を訴え続けて再審請求中だが、その再審の行方を左右しそうな注目の論文が発表された。 論文は、三月末に発売されたX線分析の専門誌『X線分析の進歩』第四四集(アグネ技術センター)に掲載される京都大学大学院工学研究科・河合潤教授の「和歌山カレーヒ素事件鑑定資料の軽元素組成の解析」。捜査段階で東京理科大学理学部・中井泉教授が大型放射光施設SPring-8で行ない、林さんの裁判で有罪の拠り所とされたヒ素の鑑定結果について、河合教授は生データを再分析。その結果、中井鑑定で「同一の物」とされた「林さん宅で見つかったとされるヒ素」と「犯行に使われたとみられる紙コップに付着したヒ素」とが「異なる物」と判明したという衝撃的な内容だ。 この河合分析のポイントは、中
裁判で証拠として採用されたヒ素鑑定データから、違う数値の出た元素のみをグラフ化。1〜7のサンプルすべてが異なっているのがわかる 新たな冤罪(えんざい)が生まれるのだろうか。1998年に4人の死者を出した和歌山毒カレー事件である。 最高裁は2009年5月、犯人とされる林眞須美被告(51歳)の上告を棄却し、死刑が確定した(現在は再審請求中)。が、ここにきて大ドンデン返しが? 2月28日、林死刑囚の弁護団が再審請求補充書を和歌山地裁に提出した。その一文を紹介する。 「証拠とされた鑑定のデータを専門家が分析した結果、(林死刑囚宅の)台所から見つかった保存容器内のヒ素と、カレーに混入する際に使ったとされる紙コップ内のヒ素は別物とわかった」 もしこの主張が本当なら、林死刑囚が自宅からヒ素を持ち出し、夏祭り用に用意されたカレーの鍋に投入、住民を無差別に殺そうとしたという検察の主張は崩れてしまう。そう、つ
今回も「誤認逮捕」だったら、警察の言うことなど誰も信用しなくなる---。逮捕直後から、巷間こう囁かれてきた。はたして「ネコ男」は5人目の被害者か、それとも・・・・・・。容疑者の肉声を公開しよう。 「証拠があるなら認めます」 「1月3日に江の島に行ったことは事実です。午後1時にバイクで到着し、神社にお参りした後、山頂に辿り着きました。午後2時30分頃だと思います。お正月でしたので、たくさんの人がいて、大道芸のパフォーマンスが行われていた。僕は4~6匹のネコを可愛がって、写真は十数枚、当時使っていた富士通製のスマホ(スマートフォン)で撮影しました。 真犯人が送ったとされるメールに添付されていた写真のネコは知っています。江の島では人懐っこいネコとして有名ですから。江の島に行った3日にそのネコを撫でて、写真を撮ったかもしれない。明確に覚えているわけではないんです。ただし、そのときに僕が首輪をつけた
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く