「マネーゲームに嫌気がさした」。こんな思いで資本市場の最前線から41歳で身を引いた元ゴールドマン・サックスのトレーダーがいる。東京大学大学院終了後、16年半戦った債券取引市場でのトレーディング業務は投資家同士のだまし合いにも似た世界。そんな資本主義の現実を知ってみると、政治家や官僚が語る日本経済をめぐる議論も「お金」ばかりにこだわり、大事なポイントを見失っているように思えたという。日本経済は、長期停滞が続き、財政赤字も膨らむ一方。そこに新型コロナウイルス禍が重なり、八方ふさがりにもみえる。そんな日本の未来は「辞めゴールドマン」の目にどのように映るのか。現在は金融教育家として活動する田内学さん(43)に話を聞いた。 日本の財政や年金制度は大丈夫なのか(Getty Imgaes)※写真はイメージです■トレーディングで世界と戦う「ゴールドマンでトレード業務をやって感じたのは、結局は誰かの財布から