社会心理学者の山岡重行氏の『腐女子の心理学2』(以下、山岡本)の統計解析について、社会学者の北田暁大氏が色々と批判している*1のだが、地に足が着かない批判になっている。山岡本を流し読みだが確認してみたのだが、後半の統計概念の説明に難が無いわけではないが、山岡氏の分析手順はオーソドックスな範囲のものであり、大きな問題がある部分は見当たらない*2。利用した分析手法で言える範囲のことしか言っておらず、大きな問題だと主張するのは無理である。そもそもこの手の実証研究は分野ごとの慣習に習うものなので、下手に難癖をつけてもなかなか的を得た批判にはならない。 山岡本の統計的仮説検定の説明に難がある*3のはそうなのだが、本文中で行われている統計解析である標本平均と特定の値の一群のt検定、群と群の平均値の差の二群のt検定の解釈は、帰無仮説が棄却されれば対立仮説を採用し、棄却されなければ対立仮説が真とは言えない