中3自殺、メモ隠蔽を指示=「事務処理煩雑」と神戸市教委担当者 2016年に神戸市垂水区の市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、他の生徒から聞き取ったメモがあったのに、市教育委員会の担当者が当時の校長にメモの隠蔽(いんぺい)を指示していたことが弁護士の調査で分かった。市教委が3日、記者会見して公表した。 メモ隠蔽指示で経緯聞き取り=神戸市教委を指導-文科省 調査報告書によると、教員らは女子生徒が自殺した5日後、他の生徒6人と面談。具体的ないじめ行為などを記したメモを作り、校内で保管していた。 しかし、当時の校長は17年3月、市教委の首席指導主事の指示に従い、情報開示を求めた遺族に「メモは存在しない」と回答。遺族が神戸地裁に申し立てた証拠保全の手続きでも、メモを提出しないよう指示した。 報告書は、首席指導主事が「メモが明らかになれば、再度の情報開示請求で事務処理が煩雑になる」
自殺願望を抱く若者らに対し、SNSによる相談対応を今年度以降に実施する自治体が、全国の都道府県・政令市・県庁所在市のうち3割に上ることが、読売新聞の調査でわかった。 神奈川県座間市の9人殺害事件を受け、若者に身近なSNSの活用が急速に拡大しつつある一方、多くの自治体がノウハウや人手の不足を課題に挙げている。 調査は今年4月、都道府県、政令市、県庁所在市の計98自治体に、教育委員会をあわせた実情を聞き、全自治体が回答した。 SNS相談には無料通信アプリ「LINE(ライン)」やツイッター、フェイスブックなどで対応する方式や、相談・通報を受けられるアプリを利用する形がある。 回答によると、「実施する予定」としたのは22都道府県と9市の計31自治体。うち少なくとも22自治体は、児童生徒の自殺が多いとされる夏休み明けの今年8、9月を含む時期に行うことをすでに決めている。自殺といじめの相談対応を兼ねる
鹿児島市の県立高校1年の田中拓海さん(当時15)が2014年8月に自殺した問題で、県が進めている再調査のための第三者委員会の人選が遅れていることが、県への取材で分かった。県は日弁連など5団体に計6人の委員推薦を依頼していたが、1団体が辞退、1団体は期限の延長を申し出たという。 県によると、県は今月27日を期限に委員の推薦を各団体に2日に依頼していた。期限までに3団体から計4人の推薦を受けたが、日本児童青年精神医学会が、「推薦する態勢が整っていない」として4月中旬に推薦を辞退していたという。ほかの1団体は、推薦の期限を5月中旬まで延ばすように申し出たという。 辞退を受け、県は精神医学の分野に詳しい他の団体への推薦依頼に向けて調整している。再調査は委員の人選が決まってから開始されるといい、伊地知芳浩・学事法制課長は取材に「速やかに委員会を開けるよう準備していく」と話した。 田中さんの母親は取材
神戸市垂水区で平成28年10月、市立中学3年の女子生徒=当時(14)=が自殺した問題で、市教育委員会は22日、第三者委員会の調査報告書で「破棄された」としていた、自殺直後に学校側が友人らに聞き取った内容のメモが残っていたと明らかにした。 遺族は昨年、報告書がまとめられた当初から、自殺の原因とされるいじめの分析が不十分と批判しており、今回の問題を踏まえ「資料が隠蔽された状態で作成された報告書はもはや信用できない」と反発している。市教委は遺族に謝罪。弁護士による調査で経緯を調べるという。 市教委によると、当時の校長は市教委に「メモは見つからない」と説明。第三者委はメモの現物がないことを前提に、独自のアンケートや聞き取りなどに基づき報告書をまとめた。 昨年8月、報告書に「破棄」との記載があるのに気付いた後任の校長らが、実際には教職員の1人がメモを保管していると市教委に報告した。 しかし市教委は「
長崎県新上五島町で2014年、中学3年の男子生徒が自殺し、両親が町と県に計約6250万円の損害賠償を求めた訴訟が4日、長崎地裁(土屋毅裁判長)で和解した。学校での悪口などによるいじめによって自殺に至ったことや、教職員がいじめを防止する措置を怠ったことを認め、町は解決金として4千万円を両親に支払う。 訴状によると、町立中学3年生だった松竹景虎君(当時15)は3学期の始業式の日、「LINE(ライン)」に自殺を示唆する書き込みをした後、自宅近くで首をつった。3年生になったころから同級生に悪口を言われるなどのいじめを受けていたという。昨年1月、町が設置した第三者委員会は、いじめと自殺の因果関係を認め、教員らがいじめに気づくきっかけがあったと指摘した。しかしその後、いじめに関する十分な検証がされていないとして、両親が昨年8月に提訴した。 和解では、級友たちによる悪口や嫌がらせなどのいじめの存在や、教
平成27年に自殺した高知県南国市立中3年の男子生徒の父、川村正幸さん(49)が4日、東京都千代田区の文部科学省で会見し、生徒の実名と写真を公表した。生徒は嘉寛さん=当時(15)。正幸さんは公表の理由について、「嘉寛が15年間、しんどい思いをしながらも毎日、頑張って生きていたことを知ってもらいたい」と話した。 嘉寛さんは27年9月1日、自宅の庭で自殺しているのが見つかった。いじめ防止対策推進法に基づき同市教委が設置した第三者調査委員会は昨年2月、いじめや家庭のしつけ、独特の性格などを挙げ、「複合的な要因が自殺の準備状態を促進した」とする報告書をまとめた。遺族は第三者委の議事録開示を請求したが、市教委は議事録を作成していないとした。 正幸さんは4日、「いじめが直接の原因ではないかという思いが消えず、対応に納得できない」として、市と市教委に真相を解明するよう指導することを文科省に要請。第三者委の
平成27年11月に茨城県取手市立中3年の中島菜保子さん=当時(15)=が「いじめられたくない」と日記に書き残して自殺した問題で、同市教育委員会が自殺の直後、生徒や保護者らに自殺の事実を明かさない方針を決めていたことが30日、分かった。同市教委幹部が明らかにした。遺族の意向や受験を控えた生徒への配慮を理由として、生徒に対する調査などでも自殺には触れていなかった。 市教委によると、中島さんが死亡した27年11月11日、学校側が「自殺を図り救急車で運ばれた」との緊急報告書を市教委に提出。その後の学校側と市教委の協議で自殺の事実を公表しないことを決めた。 中島さんが自殺した事実は28年3月中旬まで明かされることはなく、その間に実施された全校生徒へのアンケートでは中島さんについても触れなかった。市教委は同月、調査結果を基に「いじめは認められない」と結論付け、いじめ防止対策推進法が規定する「重大事態」
同級生から無料通信アプリ「LINE(ライン)」の書き込みなどでいじめを受けた熊本市の県立高1年の女子生徒(当時15歳)が2013年8月に自殺した問題で、熊本県の第三者委員会は14日、女子生徒へのいじめを認めた上で「自殺の直接の原因は特定できない」としていじめと自殺の因果関係は不明とする調査結果を蒲島郁夫知事に答申した。 県教委が設置した学校調査委員会は昨年2月、女子生徒が同級生からラインに「レスキュー隊を呼んでおけ」と脅迫めいた書き込みをされるなど5件のいじめを受けたとした上で、自殺の直接的な原因とは言えないとする報告書を発表。これを不服とする遺族が県の第三者委に再調査を求め、第三者委は昨年5月から調査していた。
いじめを理由とした子どもの自殺では、学校や教育委員会と遺族の話し合いがうまくいかず、トラブルになるケースが目立つ。教育現場で「いじめ防止対策推進法」の趣旨が理解されていないため、遺族・保護者の不信感を招いているからだ。そんなとき、国として何をすべきなのか。初等中等教育局児童生徒課生徒指導室の山本悟・生徒指導企画係長に話を聞いた。(ライター・渋井哲也) ●いじめを理由に自殺未遂した中学生 ーー私が取材をしているケースで、いじめを理由に自殺をしようと思った中学生がいます。保護者は第三者委員会の設置を望み話し合ったところ、市教委は設置しないというのです。「重大事態だからといって調査委を設置するとは限らない」と言っているといいます。文科省としてはこうした市教委の対応をどう評価しますか? 直接、報告や相談がないと把握しようがないが、そうした事例は少なくとも首長は知っておくべき。調査が終わってから文科
兵庫県川西市で平成24年9月、自殺した県立高校2年の男子生徒=当時(17)=について、日本スポーツ振興センター(JSC)が自殺の原因をいじめと認定し、遺族に見舞金を支払っていたことが24日、分かった。 両親は25年12月、県や元同級生らを相手取り計約8800万円の損害賠償を求めて神戸地裁に提訴。判決は「自殺は予見できなかった」としたものの、県と同級生らに計210万円の支払いを命じた。 判決を受けて、両親は28年5月、JSCに「自殺の原因をいじめと認めてほしい」と見舞金の支給を請求。JSCはいじめを認め、今年3月28日付で支給認定した。 母親(58)は「やっと息子の自殺が3人の同級生によるいじめが原因と明確になった」と話した。また、高校に対し、「いじめと自殺の関連性を判断できない」として県教委へ提出した事故報告書の訂正を求めたという。 JSCは、学校管理下での事故や災害で子供が死傷した場合に
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