デザインは、クライアントが伝えたい情報を視覚化し、消費者に届けるための手段である。 ■イメージを喚起させる色彩の力 色は文字や図版とともにデザインにおける重要な要素だが、クライアントの意図を的確に伝えるためには、見る側の共感を呼び起こしやすい色彩表現の手法を押さえておく必要がある。同じレイアウトでも色づかいによって印象が大きく変わる。 提案されたデザインやコンセプトがどれほど優れていたとしても、そこに施されている色が商品のイメージにそぐわなければ、効果を発揮することができず、クライアントの満足度にも影響するだろう。 イメージを喚起させる色づかいには、長年にわたって、さまざまな場面で蓄積されてきた共通の傾向がある。社会の慣習や伝統、あるいは個人の経験や記憶などと結びつきながら、人々の共感を呼び起こしやすい色づかいのルールが形づくられてきた。 こうしたバックグラウンドを考慮せず、感性やひらめき