山本 そういうはっきりしたものが、まずありました。例えば、一人の選手がテレビのインタビューを受けて場内のビジョンに映し出されたりすると「ノー、スター!」と言っていましたから。「こいつはスターじゃない!」って。その選手が悪いわけではなく、取り上げるメディア側のリクエストに応えただけなのですが、一貫して「スターはいらない」と言っていた。指示していることをしっかりやっておけば間違いないという思いからなのか、自分がスターなんだという思いなのか。先ほども言いましたが、主従関係をはっきりさせたい性格だったのは間違いないですよね。 武智 トルシエさんに私も言われたことがあります。「私は大きな赤ちゃんなんだ」って(笑)。赤ちゃんかどうかはともかく、駄々っ子みたいな一面がありましたよね。それが妙に可愛いというか憎めないというか。 山本 その一方で、とても繊細というか、常に悩んでいるようなところもあった。それ