Photo by Shutterstock 新型コロナウイルスがもたらす世界的な異常事態の中行われた2020年のアメリカ大統領選。選挙運動中からドナルド・トランプは「不正選挙」の可能性を示唆し、それに伴ってさまざまな憶測がインターネット上を飛び交うこととなった。 トランプの主張には確たる証拠がなく、「単なる陰謀論である」という批判を浴びたが、トランプとその支持者は考えを改める気配がない。お互いが客観的なエビデンスを持ち寄って話せば最終的には分かり合えるはず、というコミュニケーションの前提が揺らいでしまったかのようだ。 オカルトや都市伝説の一ジャンルだった「陰謀論」が世界政治の中心に躍り出てしまった今、私たちは違う考えを持つ他者とどうやって向き合っていくべきか。アメリカで草の根的に拡大する「白人の権利を守れ!」という政治運動を調査した『白人ナショナリズム』(中公新書)の著者、慶應義塾大学SF