サッカー界で「谷間の世代」といえば、アテネ五輪に22、23歳で出場した、1981年(および1982年)生まれを指す。 10代のころから、すぐ上の「黄金世代」と比較され、低評価を受けてきた世代だ。だが、そんな評判を覆すように、彼らのなかからはJ1リーグの得点王や、所属クラブのレジェンド的存在が多数生まれている。Jリーグでの活躍ぶりに関する限り、実は「黄金世代」を上回るほどの実績を上げてきたのだ。 当事者である彼ら自身はそんな世間の評価をどう受け止め、どう成長していったのか。今年38歳となり、現役を続ける者が少なくなってきたいま、彼らの証言から「谷間の世代の真実」を探る。 取材の約束は、午前10時。現役選手なら、まずありえない時間である。 東京・小平のFC東京クラブハウスに、石川直宏はあたかも定時出社する会社員のごとく、スーツ姿で現れた。 石川の現在の肩書は、クラブコミュニケーター。 本人曰く