数学者の長尾健太郎さんの写真を見ながら「彼は特別なひらめきを持った人でした」と語るピーター・フランクルさん=東京都渋谷区で2018年10月23日、丸山博撮影 気鋭の数学者がいた。その名を長尾健太郎という。 高校時には、世界中の若者が挑戦する国際数学オリンピックで、日本人初の3大会連続金メダルという快挙を達成した。研究者となってからは、理論物理学の分野からも注目される論文を書き、若手数学者の登竜門とされる「日本数学会賞建部賢弘(たけべかたひろ)賞」を受賞した。 15歳の夏に左太ももに腫瘍が見つかり、再発と手術を繰り返した。名古屋大助教だった2013年10月に亡くなった。31歳だった。国内外の数学者が早すぎる死を悼み、論文に<長尾健太郎にささげる>と記した。