JR真鶴駅から伊豆箱根バスで真鶴半島を南下し、お林展望公園を訪ねた。1月なのに風は暖かく、詩碑は太平洋と対峙(たいじ)するように太陽の光を浴びて建っていた。 1961(昭和36)年、一人の詩人が病気療養のため真鶴町・尻掛海岸の森に移り住んだ。前田鉄之助(1896~1977年)。森と海、港町をテーマに生涯17冊の詩集を残した。 碑に刻まれているのは、代表作「海辺の家」所収の「真鶴」の冒頭。「あゝ真鶴! 縹渺(ひょうびょう)とはてなき大洋に突きいでて 飛ぶ鶴の姿と親しまれ 小高き丘々 眼路のはてまで常緑樹覆うる小さき半島よ……」。69歳の鉄之助、渾身(こんしん)の長編だ。