「ロッキーおじさん」をご存知だろうか。あなたが関東近郊のマラソン大会に出走経験があるなら、一度は出会ったことがあるはずだ。東京マラソンはじめ数々の大会のもっともキツいとされるポイントで、映画「ロッキー」のテーマ曲を大音量で流しながら、ランナーを見守ってきたマラソン応援界の有名人である。 でも、ロッキーおじさんの応援は一風変わっている。ランナーたちに声をかけることもなければ、手を振ることもない。「ロッキーのテーマ」のサビの部分をひたすらリピート再生し、「ロッキーになれ」などのメッセージが書かれたボードを持つ。つねに無言。ニコリともしない。 ロッキーおじさんの話題が、市民ランナーの間を駆け巡ったのは、今年の東京マラソンのときだった。おじさんが「ラストロッキー」のボードを手に持ち、引退を宣言したからだ。 そんなロッキーおじさんに話を聞いた。なぜ市民ランナーを応援しつづけたのか、そしてなぜ引退を決