ブックマーク / note.com/hatano_natuki (2)

  • 居場所のなくなった本たちへ――百貨店閉店と、岩波書店の棚の記録|波多野七月

    「8月をもって、当店は閉店します」 その言葉が、空気を切り裂いた。 2024年5月、百貨店の朝礼で耳にした瞬間、わたしの中で何かが静かに崩れた。 周囲には、声にならないどよめき。動揺した目。 けれど、わたしは心のどこかでわかっていた。 いつか、この日が来ることを。 ──あの日、店がオープンした翌朝の静けさを、今も覚えている。 2016年8月。フランチャイズの書店が、百貨店の一角にオープンした。 坪数は250坪、蔵書数は15万冊。 だが、従業員はわずか11人。経験者は入社したばかりのわたしを入れて3人しかいなかった。それ以外は、百貨店の従業員として売り場の異動を余儀なくされた人たちだった。 2日目にして気づいた。客が、あまりにも少ない。 「このままでは、いつか閉店してもおかしくない」 そう感じた不安が、8年の歳月を経て現実になるとは思ってもいなかった。 閉店が発表されると、店は一転して賑わい

    居場所のなくなった本たちへ――百貨店閉店と、岩波書店の棚の記録|波多野七月
    semimaru
    semimaru 2025/09/29
  • 萩原慎一郎『滑走路』|波多野七月

    「抑圧されたままでいるなよ  ぼくたちは三十一文字で鳥になるのだ」(萩原慎一郎『滑走路』より) その三十一文字に出会った瞬間、短歌というものは、どこか遠い言葉ではないのだということを知った。小説は好んで読むものの、短歌や俳句はさっぱりだった。かろうじて国語の教科書と、吉野弘や茨木のり子の詩集、最近の方だと最果タヒさんの詩を少し読んだことがあるくらいだ。 この『滑走路』という歌集と出会ったのは、まだ2017年の頃だ。新聞の、書評記事で目にしたのがきっかけだった。勤め先の書店では短歌のコーナーはほんのわずかだが、この1冊をどうしても棚に並べたいと思い手配をかけた。 作品の紹介にはたびたび「非正規雇用」の謳い文句があり、私自身も非正規の身だったこともあり、「いつか読みたい」と心の棚にしまいこんでいた1冊だった。 ほぼ最低賃金で働く人間にとって、自分の時給の2倍近くもする単行を購入するのは困難

    萩原慎一郎『滑走路』|波多野七月
    semimaru
    semimaru 2020/11/18
    “それと同時に、「非正規の人間は、非正規の人間を描いた映画を観ることもできないのか」と、ほんの少しだけ苦笑する。”
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