第2次世界大戦末期、フィリピン・レイテ島を舞台に、飢餓と暑さのために極限状態に追い込まれた日本兵の姿を描き出した大岡昇平の同名戦争文学を映画化した『野火』が、7月25日より、渋谷のユーロスペース、立川シネマシティほかにて全国公開される。「本当の戦場にいるような恐ろしさがあり、頭から離れなかった」と原作小説に感銘を受けた鬼才・塚本晋也監督が二十数年にわたって映画化を熱望した作品だ。 塚本監督は、戦争の痛みを知る戦争体験者の話を直接聞きに行き、内容に反映させたという。「今、実際に戦争の痛みを知る人がいよいよ少なくなるにつれ、また戦争をしようとする動きが起こっているような気がしてなりません。今作らなければ、もうこの先作るチャンスはないかもしれない」という強い思いを胸に、低予算ながらも、多くの協力者の力を借りながら完成させた。昨年9月に行われた第71回ベネチア国際映画祭でのワールドプレミアでは、無