①エントロピーと自由エネルギー われわれの宇宙は150億光年の拡がりをみせる、という。その彼方の果てに外部があるとしたら、そこも、われわれの宇宙の中に含めなくてはならないだろう。だから、われわれの宇宙に外部はない。熱力学第二法則は、永久機関が作れないこと、すなわち仕事の効率は100%ではあり得ないことを教える。これは、自然の過程が不可逆で、これに伴って、エントロピーと呼ばれる乱雑さの度合いを表す物理量が絶えず生産されることを意味している。こうして、宇宙では絶えずエントロピー(乱雑性)が生産されている。だが、宇宙はそれを捨てる外部をもたないので、宇宙のエントロピーは増大を続けていくのである。 もちろん、われわれの周りは、でたらめの世界にはみえない。原始の地球を想像して見れば、そこには森林や草原もないし、虫や獣もいない。家や道路もない。裸の土地や海が広がるばかりで、今日のわれわれの眼から見れば