東日本大震災で児童と教職員計84人が犠牲となった宮城県石巻市大川小の被災校舎について、亀山紘市長は26日、保存する判断を示した。「教訓を後世に伝えるために必要」「解体を望む人にも心を配ってほしい」。遺族や住民らは胸の内を明かし、具体的な保存の在り方をめぐる今後の議論を見据えた。 6年だった長男大輔君=当時(12)=を失った今野浩行さん(54)は、市長の判断を聞き胸をなで下ろした。震災直後から「大川小の悲劇を二度と繰り返さないために校舎を残すべきだ」と信念を抱き続けてきたからだ。一方では、残す意義をみんなで考える機会が足りなかったとも感じるという。 児童23人の19遺族が市と宮城県を相手に起こした訴訟の原告団長を担う。その傍らで校舎に足を運ぶ。「死にたくなかった。なぜ助けてくれなかったのか」。早世した息子の悔しさに思いをはせ、自らを奮い立たせる場になっている。 石巻市内の仮設住宅で暮ら