ノンブル(ページ数を表す数字)についてこれまで深く考えたことはありませんでした。でも、よく考えてみると、紙に数字をふるというのは一つの発明なのです。たとえば、ゴミ箱からチラシやミスコピーを集めてきて、端っこをノリで固めたとしても、それはゴミの束でしかありません。ところが、そこにノンブルをふって、何ページにこういう内容のコピーがありますよ、という目次を加えるといきなり読み物になる。 音は、12音階に分けることで楽譜に表せるようになったわけですが、バラバラの紙の束もノンブルがあることで時系列を持った秩序として操作できるようになります。そういう操作のことを編集とかエディトリアルデザインと呼んでいるわけで、ノンブルそのものに疑いを持つとか、考えるということがそもそも発生しなかったのです。 ところが、iPadのような電子メディアには、ノンブルが必要ありません。たとえページがバラバラに散っていても、目