白水社という出版社から出ている、「白水uブックス」という新書サイズの本がありまして、今ここが「白水uブックスフェア」をやっています。わたしは、この「白水uブックス」から刊行されている本がすごく好きなのですが、ここは海外小説やエッセイなどを中心に、おもしろい本がたくさん揃っています。 渋谷のBook1stでは、ちいさなスペースでしたが、平積みでフェアを展開していて、そこでわたしは、柴田元幸さんの「生半可な学者」というエッセイを買いました。今でこそ、「妄想で作りあげた架空の世界をすごくていねいに説明するエッセイ」など書いてしまうあなどれないおっさんですが、88年から91年という時期に書かれたこの本を読んでみると、エッセイの筆致は若々しく、三十代前半にして、翻訳家としても、また文章家としても、すでに非凡な才能があったことがわかります。やっぱり翻訳家の人たちってエッセイがおもしろいんだよね。この本